自閉症に胎児期の化学物質BPAの暴露が原因、関係とは?

  • 2025年3月12日
  • 2025年3月12日
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自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会的コミュニケーションの困難さや反復的行動パターンを特徴とする発達障害です。近年、環境要因がASDの発症に関与している可能性が注目されています。

その中でも、ビスフェノールA(BPA)という化学物質が特に注目を集めています。BPAは硬質プラスチック製品や缶詰の内側コーティングなどに広く使用されており、私たちの日常生活に深く浸透しています。

最新の研究では、胎児期のBPA曝露が、特に男児の自閉症リスクを高める可能性があることが示唆されました。この発見は、自閉症の性差(男性に多い傾向)の一因を説明する可能性があり、科学界に大きな反響を呼んでいます。

BPAとは何か?その影響と懸念

BPAは、数十年にわたって使用されてきた硬質プラスチックの主要成分です。食品容器や飲料容器に広く使用されているため、多くの人が日常的に低レベルのBPAに曝露されています。

BPAの主な懸念点

⑴ホルモン撹乱作用:BPAは体内でエストロゲンの作用を弱く模倣する能力があります。

⑵長期的影響:低レベルでも生涯にわたる曝露により健康への影響が懸念されています。

⑶胎児への影響:妊娠中のBPA曝露が胎児の脳発達に影響を与える可能性があります。

これらの懸念から、一部の国では予防措置として赤ちゃん用哺乳瓶からBPAを禁止しています。オーストラリアなどでは、赤ちゃん用製品からのBPA使用を段階的に廃止する動きも見られます。

最新の研究結果|BPA曝露と自閉症リスクの関係

最近の国際研究チームによる調査では、胎児期のBPA曝露と自閉症リスクの関連性について重要な発見がありました。

主な研究結果

妊娠後期の母親のBPAレベルが高く、かつ子供のアロマターゼ活性(エストロゲン産生に関与)が低い場合、男児の自閉症リスクが高まることが判明。

動物実験では、BPA曝露を受けたマウスで以下の変化が観察において

⑴グルーミング行動(反復的行動)の増加

⑵社会的アプローチ行動の減少

⑶扁桃体(社会的相互作用の処理に重要な脳領域)の変化

研究者たちは、高レベルのBPAがアロマターゼ酵素を抑制し、エストロゲン産生を変化させることで、脳のニューロン成長に影響を与える可能性があると結論付けています。

これらの発見は、BPA曝露が自閉症の性差(男性に多い傾向)の一因となっている可能性を示唆しています。

親や妊婦が取るべき予防策

研究結果を踏まえ、親や妊婦が取るべき予防策について考えてみましょう。

BPA曝露を減らすための具体的な方法

⑴プラスチック製品の選択:BPAフリーの製品を選ぶ。特に食品容器や哺乳瓶は注意が必要です。

⑵缶詰食品の制限:缶の内側コーティングにBPAが使用されている可能性があるため、過度の摂取を避けましょう。

⑶電子レンジの使用:プラスチック容器を電子レンジで加熱すると、BPAが溶出しやすくなるため、ガラスや陶器の容器を使用しましょう。

⑷水筒の選択:ステンレス製や glass製の水筒を使用することで、BPA曝露のリスクを減らせます。

BPAについての注意点

自閉症を抱えて親御さん、また妊娠中、妊活中の女性、男性はBPA(ビスフェノールA)に対して神経質になり過ぎず、ひとつひとつ取り組むことで避けることができるもの。

⑴パニックにならない:この研究結果は重要ですが、BPA曝露だけが自閉症の原因ではありません。遺伝的要因など、他の要因も大きく関与しています。

⑵バランスの取れた対応:過度に神経質になるのではなく、できる範囲で予防策を講じることが大切です。

⑶専門家への相談:妊娠中や子育てに関する不安がある場合は、医師や専門家に相談することをおすすめします。

自閉症とBPAについてのまとめ

最新の研究により、胎児期のBPA曝露が自閉症リスク、特に男児のリスクを高める可能性が示唆されました。BPAは日常生活に広く浸透しているプラスチック成分であり、その潜在的な影響は看過できません。

しかし、この研究にはいくつかの限界があり、BPAと自閉症の直接的な因果関係は未だ証明されていません。今後、より大規模で長期的な研究が必要とされています。

親や妊婦の方々は、BPAフリー製品の選択や缶詰食品の摂取制限など、できる範囲で予防策を講じることが賢明です。ただし、過度に神経質になる必要はありません。自閉症の発症には多くの要因が関与しており、バランスの取れた対応が重要です。

この研究は自閉症の原因解明に向けた重要な一歩ですが、まだ多くの疑問が残されています。今後の研究の進展に注目しつつ、個々の状況に応じた適切な対策を取ることが大切です。

【参考元はこちらです】

https://spap.jst.go.jp/asean/news/210903/topic_na_05.html

https://www.turtlewiz.jp/archives/44541